ラオス
ヒトが仕事しているって中、一人だけイスに座るっていうのは憚られるのだが、しかし座んないと、目を光らせて「座れっ!」――よけい気を遣わせてしまうらしい。 作業の合間に飲む水を、私にもすすめることを忘れない。あぁ、私はただ見てるだけなのに…と申し…
ンン 葉っぱ――「パクノー」ひと掴みを、ミキサーの中へ。…と、足りないのか、もう少し。 ミキサーというのは、デパ地下や地下街なんかで、フレッシュジュース用に苺とかバナナとか入れてガガガと回す、ジューススタンドに数台あるアレである。…ってここはま…
「カオチー」を作るために最低限必要な材料とは、「小麦粉」、「塩」、「水」、そして酵母・即ち「イースト」であるが、それに加えて少々の副材料が添加されている。 だいたい作業人員のうち、年若い「新入り」がその役を担うことになっているらしい、この「…
昔ながらの木造住宅を思わせる、深い茶色の木箱。着物用桐タンスのようなその大きさの中には、真っ白な生地たちが、じっとおとなしく待っていた。 思い浮かぶのは、スヤスヤと眠る猫の、グーにした手。…ってべつに毛が生えているわけじゃないんだけど、何と…
カッとんだ太陽の光を受けた、濃い木陰。 そんな、シンとした暗さに「工房」はあった。 埃のような、木材のような、いや、味噌のような――?倉庫の中のように、そこに在るさまざまなものがじっと息を潜めた匂いが、七、八坪ほどの空間を纏っていた。だが、言…
寿司職人にも劣らないだろう、次にやることが分かっているからこその、休みない手。 「何をどのように入れてくれるのか」の観察に目を凝らすこちらの前で、サラッとした表情を変えることもなく流れを止めないのは、想像としては七、八つぐらい年上だろうか、…
信念を焼き込めたような、見事な焼き色。鎧をまとっているかのような厚い皮を蹴破るほどの「えぐれ」には、活きがいいという表現を通り越した、「雄叫び」とでもいうエネルギーを感じる。 「フランスパン」の中でいうならば、大きさは「バタール」に当てはま…