主に、旅の炭水化物

各地、食風景の点描

ベトナム

たこ焼き姉妹 ~ロンスエン・ベトナム 

「これ、食べてみて」 無垢、とでも言い表せる柔らかい乳白色。ちょっと触ればフルフルと揺れ、その表面から中身があふれ出てしまいそうだ。 親指と人差し指で作った「オーケー」よりもひとまわり大きいか。オセロ玉二つ分程度の円形で、横から見るとピンポ…

真面目食堂 ~ソクチャン・ベトナム

ソクチャンは、ベトナム南部のメコンデルタ地域にある町の一つ。サイゴンから南西に車で四時間半~五時間、約220キロの距離にある。 ……と紹介するのが簡単だけれども、メコンデルタ一帯を巡っていた私は、そのうちのミトー(サイゴンから南西約75キロ)とい…

飴玉車掌 ~メコンデルタ・ベトナム

バスと車掌 飴玉抱えて えいっと、座席の下へ放ったのは、大きなビニール袋。――に入っているのは、キュッと括られた、数本の水入りペットボトル。 …少々では破裂せんだろうが、投げなくてもいいのに。人の荷物をこんな風に、家畜の餌が入った頭陀袋が如く扱…

肉を洗う  ~バンメトート「お呼ばれ」記

「おいしい」。 告げると、「ソレじゃなくてコレ」。ハーさんはこちらの取り皿に、プラスチック的に艶めく太い、一番大きな肉切れをドカンと載せる。この空心菜炒めを褒めちぎりたいコチラの心、分かって貰いたいが、「定番中の定番」の総菜を褒めて貰っても…

艶々米うどん ~ベトナム・ロンスェン

「米うどん」。…とは私が勝手に呼んでいるんだけれども、小丼に、その艶肌をあらわに晒して浸るメン。 「ここで食べよう」――決め手はコレだ。 その上に抱えるのは、ゴロゴロとした濃淡違えた茶色っぽい類の物。まず「お揚げ」が分かる。もちろん豆腐のアレだ…

ベトナム中部・フエ

市場で朝食。 フエには、米粉やデンプン製生地に、エビを具としてあしらった「エビ点心」が各種ある。 改まった食堂でも食べられるが、市場でも発見できる、庶民にとっての日常の味だ。ちまきのように、一つ一つをバナナの葉で包まれているのを籠に盛り、「…